りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

半所有者

半所有者

半所有者

★★★

声なき声を聞かせてくれなかったのも、声が思い出せないのも、すべては妻の企みだったのだろうか? この行為を共有するための…。妻の遺体は誰のものか。究極の「愛の行為」を描く、戦慄の短篇小説。

これはものすごく強烈な本だ。
装丁からしてすごく印象的で、なんか読んでいけないモノを親戚の本棚の奥のほうから取り出してしまったような罪悪感を覚える。

生と死は案外近いようででもやはり圧倒的に違っていて、自分には「所有権がある」と言い張っても、死を手に持ち続けていくことは不可能なのだな。
息子の電話に取り乱すところがなんだかとてもリアルでぞっとする。

でも好きか嫌いかと問われれば、あまり「好き」ではない作品だった。