りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

兵士はどうやってグラモフォンを修理するか

兵士はどうやってグラモフォンを修理するか (エクス・リブリス)

兵士はどうやってグラモフォンを修理するか (エクス・リブリス)

★★★

ユーゴ紛争の戦禍を生き抜く少年の想像力、「物語る魔法使い」が紡ぐ故郷と家族。1992年に勃発したボスニア紛争の前後、少年アレクサンダルの目を通して万華鏡のように語られる、小さな町ヴィシェグラードとそこに暮らす人々の運命。実際に戦火を逃れて祖国を脱出した経験を持ち、ドイツ語で創作するボスニア出身の新星による傑作長編。

少年の目を通して語られるボスニア紛争
大人は全てのことを教えてくれるわけではないから、少年にはもやっとしか理解できない。でも不穏な感じや残酷なことが起きていることや今まで自分が信じていたモノたちが壊れていくことは、本能でわかる。わかるけれど、子どもの自分にできることは何もない。
彼にできるのは、精一杯想像力を働かせて自分を見失わないこと。希望を持ち続けること。大事な人を出来うる限り守ること。そしてもちろん自分自身を守ること。

「物語る魔法使い」であり続けようとする主人公アレクサンドルは健気で 、それだけに戦争で家族がぼろぼろになっていくという体験をするところはかわいそうでたまらなかった。

いやしかし、ちょっと読んだタイミングが悪かったかも。
「アニマルズ・ピープル」を読んで次にこれって…ちょっとヘヴィが過ぎた…。
アレクサンドルの空想力と物語の飛躍に途中から付いていけなくなってしまった。
物語にもっと入り込めれば、もっと感動したんだろうけど。
ちょっと残念…。