りつこの読書と落語メモ

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愛でもない青春でもない旅立たない

愛でもない青春でもない旅立たない (講談社文庫)

愛でもない青春でもない旅立たない (講談社文庫)

★★★★

この小説は、恋愛小説かもしれないし、純文学かもしれない。そうでないかもしれない。ここにあるのはいわゆる青春ではない、しかし、まぎれもない青春小説だ。

「愛と青春の旅立ち」ではなくて、愛でもない青春でもない旅立たない、なのだな。でも多分過ぎ去って何年も何十年も立って思い出してみると、あああれが自分の青春時代だったのだな、と気付くのだろう。

主人公は未熟でヘタレでどうしようもない男だけど、ぐだぐだに流される一方で、時々日常に割り込んでくる白昼夢と、自分自身を見る冷めた視線があって、その絶妙なバランスがいい。 自虐も小ボケも鼻につかない程度を心得ていて妙。