りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

オリクスとクレイク

オリクスとクレイク

オリクスとクレイク

★★★★

人類がいなくなった海辺で、スノーマンは夢うつつを漂っている。思い出すのは、文明があったころの社会。スノーマンがまだジミーという名前だった少年時代。高校でめぐりあった親友クレイクとかわした会話。最愛の人オリクスとのひととき―。誰がこんな世界を望んでいたのだろうか。そして、自分はなにをしてしまったのだろうか。カナダを代表する作家マーガレット・アトウットが透徹した視点で描き出す、ありうるかもしれない未来の物語。

終末の世界の最後の人間スノーマン(ジミー)。人間がいなくなった海辺でどうにかして正気を保とう、生き延びようとするスノーマンの現在と、彼が思い出す過去。
優秀で不遜で遺伝子操作で世界を征しようとしたジミーの親友クレイクと、自分の身体と美貌だけを頼りに生きてきた初恋の女性オリクス。
こんな世界になってしまった原因があまりにも人間臭くて、そこがアトウッドらしい。

でもアトウッドが何もこういう小説を書かなくても良かったのに、という気持ちが少し…。 終末世界はアトウッドでなくても男性作家がいくらでも書いているしこれからも書かれていくのでは?

でも3部作の1作目ということだから、これからアトウッドらしい展開になっていくのだろう、と期待。
1作目を忘れないうちに2作目を読みたい。翻訳を待つ!