りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

旅のラゴス

旅のラゴス (新潮文庫)

旅のラゴス (新潮文庫)

★★★★★

北から南へ、そして南から北へ。突然高度な文明を失った代償として、人びとが超能力を獲得しだした「この世界」で、ひたすら旅を続ける男ラゴス。集団転移、壁抜けなどの体験を繰り返し、二度も奴隷の身に落とされながら、生涯をかけて旅をするラゴスの目的は何か?異空間と異時間がクロスする不思議な物語世界に人間の一生と文明の消長をかっちりと構築した爽快な連作長編。

もやもや読書の中でこれは唯一ピカーンと輝く本であった。
SFというよりはまるで千夜一夜物語。こんな小説を書いてしまうなんて。筒井康隆ってやっぱすげぇ…。
人生は旅。何が正しいのか何を探しているのかなんてわからなくても、生きている限りは動き続けるしかないのだ。それがきっと生きるってことなのだ。 そんなことを思った。

淡々とした物語で淡々と読んだんだけど、印象的なシーンが心に深く刻まれる。強烈な絵が頭に残る。そんな小説。