りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

2010年年間ベスト

2010年は結構コンスタントに本を読んだと思う。
仕事のことで頭がいっぱいであまりよろしくない精神状態だったわりに、読む本読む本結構面白くて、「まだ本を読んで面白いと思えるのか」とちょっとほっとしたりすることもあった。

ちゃんと数えてはいないけど、国内の作家もたくさん読んだ気がする。国内国外ちょうど半々ぐらい?
やっぱり日本の作家は読みやすいよなー。翻訳本が敬遠されるのもわかるわー。

これはあくまでも私の場合なんだけど、読んだ本のなかから「面白い」と思った本を並べた時に、海外の作品だと「とてつもないフィクション」が多く並び、国内の作品だと「若い人が書いた日常に近い小説」が並んでいるような気がする。特に意識はしていないけど、無意識のうちに使い分けているのかもしれない。

というわけで、まずは2010年に読んだ国内の本の中で面白かったもの〜。
(って、なんか誰も読んでいないのに勝手に一人で盛り上がっているような空しさが少々…。いやでもいいのだ。自分の記録として残しているんだから。と自分に言い聞かせ)

ベスト10とか言って、順位をつけるのは難しいので、面白かった本をつらつらと挙げるだけなんだけど。
でもそうは言っても、2010年に読んだ国内の本の中で最も印象に残ったものといったら、やはりこれだ。

1Q84 BOOK 1

1Q84 BOOK 1

1Q84 BOOK 2

1Q84 BOOK 2

1Q84 BOOK 3

1Q84 BOOK 3

電車に乗って本を読んでいて同じ表紙の本を読んでいる人と出会うなんていう経験を私は今までしたことがないし、旦那と同じ本をほぼ同時に読んで感想を語り合うなんていう経験も今までほとんどなかった。
ま、天邪鬼だから、流行っていると聞くとなんとなく手を出しにくくなるっていうのもあるんだけど。
でもこれはなんか、今読まないと!という気持ちにかられて、読んだ。 私はハルキストでは全然ないんだけど、きっと村上春樹は後世にも読まれていく作家だと思っているし、その人の書いたばかりの作品を読める幸せというのを味わいたいと思ったのだな。
1Q84」を読んで、日本の小説でもこんな「ド」フィクションがあるのかーと純粋に感動したし、私は3のラストもすごく好きだった。

桐島、部活やめるってよ

桐島、部活やめるってよ

俺俺

俺俺

ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。 (100周年書き下ろし)

ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。 (100周年書き下ろし)

今みたいにネットが普及する前は、本の情報を得るのはもっぱら新聞の書評欄か雑誌ぐらいで、あとは図書館に行って小説の棚をゆっくり回って1つ1つタイトルを見て、ぴぴっとくるものを読んでいた。
タイトルに惹かれて読んで大当たりだった本は数知れない。
アンタイラーの「ここがホームシックレストラン」もそうだし、クリストファープリーストの「魔法」もそうだ。

最近はそんなふうにタイトル読みをすることも少なくなったんだけど、それでも人様の読書ブログを巡っていて、タイトルに心を惹かれ「読んでみよう」と思う本はある。
桐島、部活やめるってよ」「俺俺」「ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。」なんかはまさにそれだ。
いやほんとにタイトルって重要だよなぁ…。
これらはタイトル読みだったけど、本当に面白かったし、普段あまり本を読まないような人にも薦めたくなる本だ。

ふがいない僕は空を見た

ふがいない僕は空を見た

よろこびの歌

よろこびの歌

カラフル

カラフル

船に乗れ!〈1〉合奏と協奏

船に乗れ!〈1〉合奏と協奏

どうやら私は「頑張ってもがいている若い人」にたいそう弱いらしい。
我が子を見守る母の目線と、大人と言われる年齢になったのにも関わらずまだまだ未熟な自分の目線。その両方で読んでしまうので、なんか2倍泣けるというかなんというか。
「これぐらいの年のときに読んでおきたかったなぁ」と思う時もあるけど、そういう時はすかさずムスメに薦めることができるので、一石二鳥でもある。

これでよろしくて?

これでよろしくて?

ポケットの中のレワニワ(上) (100周年書き下ろし)

ポケットの中のレワニワ(上) (100周年書き下ろし)

川上弘美伊井直行は理屈抜きに好きな作家だ。
「これでよろしくて?」は、とにかくこの世界が好きで好きで、これでよろしくて?同好会に入りたくて仕方なかった。川上弘美の描く女性とはなんだか仲良くなれそうな気がする〜♪
「ポケットの中のレワニワ」は今まで読んだ伊井直行作品の中で一番良かった。こういう変なフィクションを書ける作家が日本にいるというのは、なんだかすごく嬉しいのであった。(←意味もなく上から目線)

で、お次は海外の本〜。
冒頭にも書いたけど、面白いと思った翻訳本を並べてみたら、みんなとんでもないフィクションっていうか奇想天外な小説ばかりで、つくづく私はそういう小説が好きなんだなぁと思った。

いろいろ好きな本はあるんだけど、2010年に読んだ中で私が一番面白い!と思ったのは文句なしにこれ。

螺旋

螺旋

これは本当に面白かった。物語としての面白さもピカイチだったんだけど、登場人物のダメなんだけど憎めない感じとか、物語全体に流れる空気観とか、それらの全てがとにかく好きで好きで、作者は本当にいい人なんだろうなぁ…と勝手に作者の人間性までも全肯定したくなるほどであった。

お酒の飲みすぎなのか年のせいなのか、とにかく記憶があいまいな今日この頃の私。
2010年に読んだ中でベストは「螺旋」だな。間違いないな、と思いながら、「あとあの本も面白かったんだよな。あれ。ほら、6本指の人が出てくるやつ。あれも甲乙付けがたいほど好きだった。あれってなんだったっけ?」としばらく考えて、「あ、それが螺旋だ」と気付いた、という…。 大丈夫か、おれ…。

13番目の物語 上

13番目の物語 上

オラクル・ナイト

オラクル・ナイト

ミスター・セバスチャンとサーカスから消えた男の話

ミスター・セバスチャンとサーカスから消えた男の話

ウィルバーフォース氏のヴィンテージ・ワイン (エクス・リブリス)

ウィルバーフォース氏のヴィンテージ・ワイン (エクス・リブリス)

ミスター・ピップ (EXLIBRIS)

ミスター・ピップ (EXLIBRIS)

物語の中の物語とか、多重構造の物語とか、とてつもないホラ話とかが大好きだ。
読んでいて「うぉーー」と興奮してきて血湧き肉踊る、そんな感覚を味わえる本に出会ったとき、「読んでて良かった〜!」と心の底から思う。
自分とは住んでいる世界も違う、宗教も考え方も違う、そして自分がするはずもない体験を描いているのに、なぜか自分の心の琴線に触れるものがあってわけもなく励まされたり自分の中に何かイイモノがインプットされたような気持ちになったりする。多分私にとってそれが本を読む唯一の理由なんだと思う。

ベイツ教授の受難

ベイツ教授の受難

コレラの時代の愛

コレラの時代の愛

愛の続き (新潮クレスト・ブックス)

愛の続き (新潮クレスト・ブックス)

自分には本当には理解できないんだろうなぁと思いながらも、なんだか心惹かれて大切に読んでいる作家がいる。
デイヴィッド・ロッジイアン・マキューアンガルシア・マルケスはそんな作家たちだ。
昨年読んだこの3冊はそんな中でも「やっぱり面白い!」「やっぱりいい!」「(この人たちは)間違いない!」と思った本であった。

すべての終わりの始まり (短篇小説の快楽)

すべての終わりの始まり (短篇小説の快楽)

パストラリア

パストラリア

短編小説もいいよねぇ…。短編小説を読みすぎておなかいっぱいになった 時期もあったけど、短編には短編の味わいがあるなぁと思う。 とる量を気をつけつつ(おなかいっぱいにならないように)短編も読んでいきたい。