りつこの読書と落語メモ

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エアーズ家の没落

エアーズ家の没落上 (創元推理文庫)

エアーズ家の没落上 (創元推理文庫)

★★★★★

斜陽の領主一家と屋敷を静かに襲う、不幸な“事故”の数々。中年医師の眼を通して描かれる悲劇には、悪意ある何者かの仕業なのか。第二次大戦後を舞台にした待望の最新作。

これはまたサラ・ウォーターズらしい小説だ。
かつては栄華を誇っていた貴族が没落し、屋敷はまるで悪意を持っているかのように住んでいる人たちを蝕んでいく。
そんな屋敷に足繁く通ううちに、そこに住む当主ロデリックの姉キャロラインに惹かれていく中年医師ファラデー。

屋敷に火をつけ当主であるロデリックを狂気に追い込んだのは、屋敷に住む幽霊なのか、あるいは誰かの仕業なのか?
語り手であるファラデーがこれまた信頼できない語り手なので、最後まで読んでも、もやもやのままなのだ。
だからこれをミステリーとしてきっちりとした落とし前をつけてもらえると思って読むといらっとくるかもしれない。

でもこのもったりもっさり感こそがサラ・ウォーターズの小説に深みを与えているのだと思う。
私は好き、これ。