りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

ふくろう女の美容室

ふくろう女の美容室 (新潮クレスト・ブックス)

ふくろう女の美容室 (新潮クレスト・ブックス)

★★★★

「美容室と酒場―どちらも人がふらりと入ってきては、別の姿になって出てゆく場所」。美容室に踏みこんできた男とそれを迎える女の胸さわぎを描く表題作。亡き夫レイモンド・カーヴァーの名短篇「大聖堂」と対をなす、盲目の男とある夫婦の一夜を描いた「キャンプファイヤーに降る雨」。夫がひそかに隠していた浮気相手からの手紙を燃やしてしまう妻。その妻に、夫がかけたひとことの重み(「祈る女」)。―誰もが抱える喪失の痛みと、ときに人の魂を光の中に照らしだす恵みのひととき。人生の機微とその不思議を、シンプルかつ美しい言葉で描きだす、大人の味わいの傑作短篇集。父母をめぐるエッセイ二篇を付す。

何も知らずに読んだんだけど(大好きなクレストブックスだったから)、作者はレイモンドカーヴァーの奥様だったのだね。

激しい想いを胸に抱きながらも、ぐっとこらえて黙って耐える。作者はそんな女性なのかな?と思わせるような短編たち。
苦い話が多いのに読み終わった後なぜか優しい気持ちになれるのは、作者の視線が温かいからなのかもしれない。

大きな湖にぽちゃんと石を投げたぐらいのささやかな復讐。
相手の人生を狂わせてしまうぐらいの大きな復讐。
ぐっとこらえるのも想いを爆発させるのも自分次第だけど、自分のしたことやしなかったことの重みを背負って生きていかなければならないのだよなぁ…。
妹に石を送る話と、銃の話が特に好きだった。