りつこの読書と落語メモ

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俺俺

俺俺

俺俺

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マクドナルで隣り合わせた男の携帯電話を手に入れてしまった俺は、なりゆきでオレオレ詐欺をしてしまった。そして俺は、気付いたら別の俺になっていた。上司も俺だし母親も俺、俺でない俺、俺ではない俺、俺たち俺俺。俺でありすぎてもう何が何だかわからない。電源オフだ、オフ。壊ちまうす。増殖していく俺に耐えきれず右往左往する俺同士はやがて―。孤独と絶望に満ちたこの時代に、人間が信頼し合うとはどういうことか、読む者に問いかける問題作。

これ、私はめちゃくちゃ面白かった! このインパクトのあるタイトルと表紙に惹かれて読んだんだけど、想像していたほど酷い話ではなかったと思う。 でもあんまり評判がよくないみたい? 多分好き嫌いが分かれる作品なんだろうと思うけど、気持ちが悪い話ではあるけど、笑えるところもたくさんあって(「俺山」には爆笑)、荒唐無稽なようでいて妙にリアルで身につまされて…結末が知りたくて夢中になって読んだ。

俺が「俺」と一緒にいるときに抱く一体感が、徐々に嫌悪感に変わっていくところとか、すごくリアル。 あと、話が妙な感じに捻じ曲がって行くところとか、ぞわぞわする怖さがあって、気持ち悪いけどちょっと気持いい。

不条理でシュール。でもそれだけじゃない。 俺が「俺」の話を聞いている時に抱く、ものすごくズキズキ痛む感じ。読んでいる私も同じような痛みを何度も感じた。