りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

遠くの声に耳を澄ませて

遠くの声に耳を澄ませて

遠くの声に耳を澄ませて

★★★★★

くすんでいた毎日が、少し色づいて回りはじめる。錆びついた缶の中に、おじいちゃんの宝物を見つけた。幼馴染の結婚式の日、泥だらけの道を走った。大好きな、ただひとりの人と、別れた。ただ、それだけのことなのに。看護婦、OL、大学生、母親。普通の人たちがひっそりと語りだす、ささやかだけど特別な物語。

この作者の本を読むのは「よろこびの歌」の続いて2作目なんだけど、これもすごく良かった。

自分の角度がちょっと変わっただけで、日常がちょっと明るくなる。空しかった日々に光が当たる。頑なな心が少しだけ柔らかくなる。そういう些細なことが大事なんだ。
そんなことに気付かせてくれる短編たち。
凛とした美しさと清清しさが感じられてとても好きだ。