りつこの読書と落語メモ

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船に乗れ!

船に乗れ!〈1〉合奏と協奏

船に乗れ!〈1〉合奏と協奏

船に乗れ!(2) 独奏

船に乗れ!(2) 独奏

船に乗れ! (3)

船に乗れ! (3)

★★★★★

音楽一家に生まれた僕・津島サトルは、チェロを学び芸高を受験したものの、あえなく失敗。不本意ながらも新生学園大学附属高校音楽科に進むが、そこで、フルート専攻の伊藤慧と友情を育み、ヴァイオリン専攻の南枝里子に恋をする。夏休みのオーケストラ合宿、市民オケのエキストラとしての初舞台、南とピアノの北島先生とのトリオ結成、文化祭、オーケストラ発表会と、一年は慌しく過ぎていく。書き下ろし、純度100パーセント超の青春2音楽小説。

とにかく面白かった!
最初は主人公サトルの鼻持ちならなさにちょっとげんなりしながら読んでいたんだけど、彼の経験や感情の動きがとてもリアルで胸にせまってきて、途中から彼と一緒に泣いたり笑ったりしながら、最後は苦い気持ちを噛みしめながら読み終わった。

大人は子どもの完成形ではないけれど、確かに子どもと大人は決定的に違っていて、子どもから大人になる分岐点というのが確かにあって、それはもしかすると誰にでもある「若いときの挫折」とか「苦い思い出」ってやつなのかもしれない。
ほんの小さな選択がその後の人生を決定づけてしまうというのはよくあることで、それでも人生は続いていて、それは失敗でも成功でもない。

サトルが音楽の道を選ばなかったことは残念にも思えるけれど、だからこそそれがサトルなわけで、それはもう誰のせいでも何のせいでもない。
誰でもそういう選択をして今の自分があるのだと思う。

大人と呼ばれる今も、まだまだ自分は未完成だし動き続けている。
そう、確かに船は揺れているのだ。