りつこの読書と落語メモ

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空高く

空高く (新潮クレスト・ブックス)

空高く (新潮クレスト・ブックス)

★★★★★

地上を逃れて、空の高みへ。眼下にはロングアイランド。スイミングプールに映る夏の空。愛機から見下ろすと、人生の憂さなど存在しないかのようだ-。気鋭の韓国系アメリカ人作家が描く、波瀾にみちた家族の肖像。

仕事を引退した初老の男がそれまでの人生を振り返りながら、人生の岐路に立ち決断を迫られる。
抑揚のないだらだら続く文章は、面白みのないおやじの独白を聞かされているようで、ちょっといらっとくるのだが決して不快ではなく、気がつくと話に引き込まれその人生にも引き込まれている。

たいしたことは何もおこらないといえばおこらないし、歴史に残ることもないようなフツウの人の人生もこうしてみると案外ドラマチックなんだな、とも思う。
たわいもないおやじの戯言のようではあるけれど、ささいな決断、ささいな出来事がとても大切に思えるしとても愛おしい。
自分は自分の些細な人生を大事に生きていきたいと思わせてくれる。

面白い。こういう小説に弱い。