りつこの読書と落語メモ

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螺旋

螺旋

螺旋

★★★★★

絶妙な語り口、緻密なプロット、感動のラスト。大ベストセラー小説『螺旋』の作者トマス・マウドは、本名はもちろん住んでいる場所すら誰にも明かさない“謎”の作家。「なんとしても彼を見つけ出せ!」出版社社長に命じられた編集者ダビッドは、その作家がいるとされる村に向かう。一方、麻薬依存症の青年フランは、盗んだバッグに偶然入っていた『螺旋』をふと読み始めるのだが…。いったいトマス・マウドとは何者なのか?2つのストーリーが交錯する時、衝撃の事実が明らかになる!驚異のストーリーテラーが放つ、一気読み必至の長編小説。

面白かった〜!!
お気に入りのブログで絶賛されていて、期待に胸をふくらませて読んだんだけど、ほんとに期待に違わず!私好みの濃ゆ〜い小説だった。
こういう小説に出会いたくて本を読んでいるのだよなぁ…。読めてよかった。出会えてよかった。

主人公ダビッドは敏腕編集者。
担当作家の作品を丹念に読みきちんとアドバイスをし、彼らの相談に乗り、一緒に素晴らしい作品を作ろうという純粋な気持ちを持っている。
読み始めてすぐに小心だけど誠実でちょっとお間抜けなダビッドのことが好きになった。

そんなダビッドが社長から秘密の命を受ける。
大ベストセラー小説「螺旋」の作者トマス・ウッドを見つけ出しどうにかして続編の原稿を受け取れ!というのだ。
本名も住んでる場所も誰も知らないトマス・ウッドは、とある村に住んでいるらしい。
彼は妻を連れてその村に行き、トマスを探すのだが…。
ダビッドによるトマス探しの物語が主軸なのだが、彼の勤める出版社の社長秘書エルサ、麻薬中毒のフランの物語も並行して語られ、彼らの人生も小説「螺旋」を介して徐々にまわりはじめる。

スピード感溢れるジェットコースター的な小説では決して無い。
むしろ、一つ一つの物語がとても丁寧にゆっくりと描かれていて、最初のうちは「あれ?ちょっと想像していたのとは違うな」とおもった。
でも出てくる人たちがみな欠点だらけなんだけど魅力的で、作者の視線がとても温かくユーモアに溢れていて、読んでいて思わず笑顔がこぼれてしまう。

面白くてページをめくる手が止まらず、だけどそうするとどんどん終わりに近づいていくわけで、読み終わるのが寂しくて、でも最後まで読んで「ああ…なんて素敵な物語!」とほのぼのと温かい気持ちになり…。
いやぁ、ほんとにこれは素晴らしい小説だ。
これを25歳で書いたって言うんだから、びっくりだよなぁ、もう。
他の作品も翻訳されますように…!!