りつこの読書と落語メモ

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岸辺の旅

岸辺の旅

岸辺の旅

★★★★

なにものも分かつことのできない愛がある。時も、死さえも。あまりにも美しく、哀しく、つよい至高の傑作長篇小説。

死んでしまった夫がふいに自分のもとに戻ってきて、ここまで来るのに3年かかったと言う。
彼がたどってきた道を今度は2人で歩く。それは死へ向かう旅なのか、あるいは再生への旅なのか。

愛する人が死を選んでふいに自分の前から消えてしまったら…こんな風に戻ってきてくれることを何よりも願うだろうと思う。
もう少し一緒にいたい、話をしたい、近づきたい、知りたい、そう思うだろう。
だけどこの物語を読むと、それは結局は空しい願いなのだなぁと思う。相手のことを全て知ることはできないし、分かり合うことも引き止めることもできない。

あたたかいようで、とても残酷な物語だと思った。
刹那的な美しさを見せてもらったけれど、小説としはわたしはそんなに好きではないかなぁ。