りつこの読書と落語メモ

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よろこびの歌

よろこびの歌

よろこびの歌

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御木元玲は著名なヴァイオリニストを母に持ち、声楽を志していたが、受かると思い込んでいた音大附属高校の受験に失敗、新設女子高の普通科に進む。挫折感から同級生との交わりを拒み、母親へのコンプレックスからも抜け出せない玲。しかし、校内合唱コンクールを機に、頑なだった玲の心に変化が生まれる…。あきらめ、孤独、嫉妬…見えない未来に惑う少女たちの願いが重なりあったとき、希望の調べが高らかに奏でられる―いま最も注目すべき作家が鮮烈に描く、青春小説の記念碑。

音大付属高校の受験に失敗して女子校の普通科に進んだ玲。母の才能を恨み自分の通う学校や生徒たちのことを蔑み孤立している。しかし合唱コンクールをきっかけに頑なだった玲の心が少しずつほどけていき、そして「孤立した自分」と「それ以外のうまくやっている他の子たち」だった図式が、徐々に「私たち」に変わっていく…。

自分だけが異質、自分だけがうまくやれないでいる。若いうちはそんな風に思いがちで、自分の殻に閉じこもったり、また逆にまわりと当たり障りなく付き合うことに注力したりしてしまう。
でも学校生活を上手に送っているように見える学級委員だって、いつも天真爛漫なだけに見える元気印の女の子だって、実はみんなコンプレックスを持っていて一人ぼっちな気持ちを抱えている。
抱えている悩みはさまざまでわかりあえないこともあるけれど、でもそれぞれみんなが尊い存在なのだ。

そんなことに徐々に気付いていく彼女たちがとても素敵だ。
若さって残酷で身勝手でイライラさせられるけど、でもやっぱり若さっていいなぁ、って思える。
とても素敵な小説だった。好きだ!