緋い記憶
- 作者: 高橋克彦
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 1994/10
- メディア: 文庫
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思い出の家が見つからない……。故郷を久しぶりに訪ねた主人公の隠された過去が次第に明らかにされていく。表題作他傑作短篇七話
うわー、これは怖いよー。
短編でこんなに怖いってちょっとすごくないか…。
誰にでも、ここまでじゃないけれど、もしかしてこれはそういうことだったのか?いやでもまさかそんなはずないか、ただの思い違いか…いやでももしかして…とぞっとするような記憶を1つぐらい持っているのではないだろうか。
それはもしかすると本当だったかもしれないし、もしかすると単なる妄想だったのかもしれない。
でも子どもの時ってわからないことが多すぎて、でもなにか怖いことなんじゃないか、とか、後ろ暗いことなんじゃないか、という嗅覚だけは異様に研ぎ澄まされていて、だからこそ大人だったら見なくて済んだのかもしれないものを見てしまったり、妄想してしまったりするような気がする。
自分でも忘れたくて無理矢理蓋をしていたような部分をぐりぐりと刺激してくる作品ばかりだ。
特に怖くて、その絵が目に焼きついて離れなかったのが、「緋い記憶」「ねじれた記憶」「言えない記憶」「遠い記憶」。
なんだろう。まるで自分もその場にいたかのような…私にもそういう経験があったかのような、そんな臨場感があるのだ。
怖いけど、他の作品も読んでみたくなった。長編だとどんな感じなんだろう。