悪霊の島
- 作者: スティーヴン・キング,白石朗
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2009/09/12
- メディア: 単行本
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不慮の事故で片腕を失ったエドガーは、ひとりフロリダの孤島デュマ・キーに移り住んだ。波と貝殻の囁きを聴きながら静かに暮らすエドガーは、ある日、絵を描く衝動にとりつかれた。かつて幾人もの芸術家を迎えたデュマ・キーに宿る何かが作用したのか?彼の意思と関わりなく手が描き出す少女と船の絵―それはいったい何なのか?屋敷に住まう老女の過去に何があったのか?じわり、じわりと怪異が迫る。島にひそむ悪しきものがひそやかに触手を伸ばす“恐怖の帝王”の本領発揮。圧倒的恐怖へ向けたジェットコースターが、高みをめざして昇りはじめる。
実はスティーヴン・キングは長いこと敬遠してきた作家だ。
昔読んだ作品で、太い書体で恐怖を表現していたり、「ぎゃぁぁぁぁーーーー」とかいうマンガチックな表現に、「けっ」と思ってしまい、それ以来避けて通っていたのだ。
でも私が勝手にシュミが合う♪と思っている読書ブロガーのほとんどの人たちがキング面白い!と書いているのを読み、そ、そうなの?そういえば私あんまり読んだことないし…と思い、何年か前からおそるおそる何作か読みはじめていたのだ。
で、これ。
上下巻だし悪霊だし正直最後まで読みきれるんだろうか、と手にした時は不安だったんだけど、読み始めたらもう止まらない。面白くて面白くて、ちょうど出張で本を読む時間に恵まれたこともあって、3日で読んでしまった。
いやぁ、面白かった!大満足。
ファンの間では「あんまり怖くない」という評価もあるようだけど、もともとそんなにホラーが得意なわけではないので、私はこれぐらいでちょうどいいです…。
というか、とにかく圧倒的な物語力と生き生きとした登場人物に家族の絆に友情に。もう私の好きな要素がぎゅっと詰まっているじゃないですか!
特に上巻が良かったなぁ…。
一度は絶望のふちに立たされた主人公が、少しずつ散歩の距離を伸ばしていってワイアマンとお茶を飲むシーン。
とりつかれたように絵を描くシーン。
忍び寄る恐怖と、同じように見えてくる希望の光とのバランスが絶妙で、「うおおー」と思わず悶絶。
下巻でホラーとしてはクライマックスを迎えるんだけど、私はなにやらわからないものがあるようなないような…な上巻の方が全然怖かったし、面白かった。
でも読んでいる間この独特の世界を楽しめたし、読み終わってからもしばらく余韻に浸れて、大満足だった。
他の作品も読んでみたい。
未読の作品が山積みっていうのは、ある意味幸せなことなのかも。