りつこの読書と落語メモ

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世界のすべての七月

世界のすべての七月 (文春文庫)

世界のすべての七月 (文春文庫)

★★★★★

30年ぶりの同窓会に集う1969年卒業の男女。結婚して離婚してキャリアを積んで…。封印された記憶、古傷だらけの心と身体、見果てぬ夢と苦い笑いを抱いて再会した11人。ラヴ&ピースは遠い日のこと、挫折と幻滅を語りつつなおHappy Endingを求めて苦闘する同時代人のクロニクルを描き尽して鮮烈な感動を呼ぶ傑作長篇。

私が翻訳物を好んで読むようになったのは20年ぐらい前だったか。
当時は今みたいにブログのようなものもなく、面白い本を見つけるのが一苦労だった。
気に入った作家がいたらその人の本は一通り読み、その人が影響を受けたという作家や比較される作家を読み、さらには同じ翻訳者の本を読み。
そのうち、村上春樹柴田元幸の訳した本は面白い!と気付き、彼らの訳書を読み漁り、それでティムオブライエンを知った。

ティムオブライエンと聞いて「うわっ、懐かしいなぁ」と思った。
私が気付いていなかっただけなのかと思っていたけれど、どうやらしばらく執筆活動を行っていなかった時期もあったようだ。

読み始めは少し戸惑った。
同窓会に集う中年の男女。それぞれに過去の傷や嫉妬や恨みや欲望を抱いている。

あれ?なんか作風が変わった?
年取って少しメロドラマティックになっちゃった?
そんな風に思いながら読みすすめていたんだけど、ベトナム戦争に行って足を失った男、カナダへ移住し戦争を逃れた男、そしてスキャンダルにまみれて職を失った女牧師の物語のあたりで、もうハートをがっと鷲づかみされてしまった。

あーーー、やっぱりティムオブライエンだ。これがティムオブライエンだよなぁ。
そして村上春樹のあとがきがいいんだ…。
ああ、そうなのかーーと頷くことしきり。
村上春樹が好きになってくれたおかげでこうして読むことができることを、とてもうれしく思う。