りつこの読書と落語メモ

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夏の水の半魚人

夏の水の半魚人

夏の水の半魚人

★★★★

「力みゼロ、の演劇界の鬼才」が描くリアルな響きの「エデンの園」。
小学5年・魚彦。ちょっとオカシイ母、足の不自由な親友・今田、転校生の海子……。
魚彦の日常と、日常に潜む「エデンの園」からの旅立ちを描いた、不思議でリアルな物語 。

これはまたなんかちょっと変わった小説だなぁ。
読み始めはなんか読みづらくて違和感を感じて、この違和感はいったいなんなんだろう?と思ったら、小学5年生の男の子が書いた文章(という設定)だからなんだね。文章だけじゃなくて思考自体もとても小学5年生らしくて、偏狭だったりしつこかったりそうかと思えば妙にあっさりしてたり…。
そこがストンと腑に落ちてカレ(魚彦)のぐにゃぐにゃした世界に巻き込まれることができれば好きになれるし、入り込めずに一歩引いたところから冷めた視線で読んでしまうと「へーはーほー」で終わってしまうんだろうな。

私の場合は、海子とのシーンに「は??」とあっけにとられているうちに、気がついたらすっかり魚彦の気持ちになってしまっていて、気がついたら泣いていた…。
こういう小説って作者のあざとさがちょっとでもにおうと、もうすごい興ざめだけど、それが最後までなかったなぁ。
なによりラストがすごく良かった。