りつこの読書と落語メモ

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告白

告白

告白

★★★★

我が子を校内で亡くした女性教師が、終業式のHRで犯人である少年を指し示す。ひとつの事件をモノローグ形式で「級友」「犯人」「犯人の家族」から、それぞれ語らせ真相に迫る。選考委員全員を唸らせた新人離れした圧倒的な筆力と、伏線が鏤められた緻密な構成力は、デビュー作とは思えぬ完成度である。

図書館に予約を入れてから何ヶ月か待ってようやく回ってきた人気本。
人気があるだけのことはあって、ものすごい衝撃的だし刺激的だし読みやすい。もう読み始めたら止まらない。

ある中学校で女性教師の娘がプールで事故死する。
その教師がクラスの生徒たちに向かって語りかけるところから物語は始まる。
「あれは事故ではなくこの中にいる生徒に殺されたのです」
しかし衝撃的な告白はこれだけで終わらない。

犯人の少年、その家族、同級生の女子生徒、さまざまな視点から事件についての告白がある。
ああ、そういうことだったのか…と少しわかったような気になっていると、次の章の告白でまた裏切られる。

おそろしいのはものすごくリアルだということだ。
思い出す幾つかの少年たちの起こした事件の真相も、こういうことだったのかもしれない、と思わせるところだ。
これが彼らの心情だったのだろう、と。

なんでこんなことを?どうして?どうしたらこんな風に子どもが育ってしまうの?
事件があるたびに私たちは理由を知りたがり、原因を究明したいと思う。
自分の子どもはこんなふうにならないように手を尽くしたいと思う。
でも、こういうことなら、もう私たちはいったいどうしたらいいんだろうか。私たちの何が間違っていたんだろうか…。

物語を最後まで読んで残るのは後味の悪さと無力感だけだ。
パトリシアハイスミスもびっくりな救いのなさ。
この作者はよっぽど人間が嫌いなんだろうな…。

私は基本的には生きているってやっぱりいいなぁ…って思わせてくれる小説が好きだ。
突き詰めてしまえば、おそらく私はそう思いたくて小説を読んでいるんだと思うのだ。
ただ、これはこれで嫌いじゃない。