りつこの読書と落語メモ

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楽園

楽園〈上〉

楽園〈上〉

楽園 下

楽園 下

★★★★★

模倣犯」事件から9年が経った。事件のショックから立ち直れずにいるフリーライター・前畑滋子のもとに、荻谷敏子という女性が現れる。12歳で死んだ息子に関する、不思議な依頼だった。少年は16年前に殺された少女の遺体が発見される前に、それを絵に描いていたという―。

模倣犯」以来読んでいなかったので、なんと4年ぶりの宮部みゆき
いやしかし本当に「読ませる」作家だ。
土曜日の夕方から読み始めたらもう止まらなくなってしまって夢中になって2日で読んでしまった。衝撃的な出来事がこれでもかこれでもかと起きるわけではないんだけれど、描かれている人物があまりにもリアルで生き生きしていて、あっという間に自分の生活を飲み込んでいってしまうんだなぁ…。

ミステリーに「救いがある」というのも変な話なのかもしれないが、私が宮部みゆきを好きな一番の理由が彼女の小説には救いがあることだったから…。「模倣犯」の救いのなさにちょっとヤラれてしまったんだなぁ…。
圧倒的な悪とかあまりにも酷いことからは目をそらしたくなる。最近そういう事件が多くて、目をそらしちゃいけないと頭ではわかっているんだけど、嫌悪感と恐怖感で見ていられなくなる。見なかったことにしたくなる。
模倣犯」もそうで、もしかして宮部さんも書いていて自分で耐えられなくなってしまったのかな…。そんな感じも受けていた。

この小説を読んで、ああ、宮部さんは「模倣犯」の落とし前をつけたんだな、と思った。
ミステリーとしてはもしかすると不十分なのかもしれないし、ちゃんとした答えにもなってないのかもしれない。
それでもこれは宮部さんの出したこたえなのだなと私は思ったし、それは解決にはなっていないかもしれないけれど、それなら私は理解できる、私はこれからも宮部みゆき作品を読んでいきたい、と思った。

とてもとても面白かった。
辛いだろうけど、宮部さんにはやはりこういう作品を書くことをやめてほしくない、と強く思った。