りつこの読書と落語メモ

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ある島の可能性

ある島の可能性

ある島の可能性

★★★★★

「これは僕の最高傑作」と豪語する、ウエルベック渾身の最新長編!
舞台は今から2千年後の未来。笑いも涙も消えた世界に生きるネオ・ヒューマンが、21世紀の祖先の自叙伝を読み解くところから、その愛と生命の物語は始まる『素粒子』に続く、SF的意欲作。

下半身で思考し想像し創造する男、それがウエルベック
この物語は、ダニエルというシニカルなコメディアンの物語と、彼を先祖とした「ネオヒューマン」の物語、2つの物語が交互に語られていくのだが、クローンの部よりコメディアンの部のほうが断然面白い。

性愛が生きるすべてであると言い切る主人公に決して共感はできないのだが、しかしその生き様は時に滑稽で、時に哀れで、ああ、これこそが人間だ、と思える。
老いていくことがどんなに醜くくても苦しくても、やっぱり人間は面白いなぁ、不老不死なんてほしくないなぁと私は思ったよ。