りつこの読書と落語メモ

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鳥類学者のファンタジア

鳥類学者のファンタジア

鳥類学者のファンタジア

★★★★★

柱の陰に誰かいる―フォギーことジャズ・ピアニスト池永希梨子は演奏中奇妙な感覚に襲われる。愛弟子佐知子は、姿も見たという。オリジナル曲フォギーズ・ムードを弾くと、今度は希梨子の前にもはっきりと黒い服の女が現れた。あなた、オルフェウスの音階を知っているとは驚いたわ。謎の女は自分は霧子だと名乗り、そう告げた。混乱した希梨子は、音楽留学でヨーロッパに渡り、1944年にベルリンで行方不明となった祖母・曾根崎霧子ではないかと思い当たる。そしてフォギーは魂の旅へ―。光る猫パパゲーノ、土蔵で鳴り響くオルゴールに導かれて、ナチス支配真っ只中のドイツ神霊音楽協会へとワープする。

面白かったーーー。
壮大でドラマティックなストーリー、それを裏切る軽妙な(すぎる)語り口。欠点だらけだけど愛すべき登場人物たち。どこをとっても私好みな小説だった。

もともと時をめぐる物語が好きなんだけど、これはそれに音楽の要素が加わって、私の大好きなベートーベンまで出てくるんだ。
これを大真面目にやられるとちょっとこそばゆくなってしまうかもしれないんだけど、妙に軽くて素人っぽい語りが逆に「そいうこともあるかもしれないな」と思わせてくれる。

こんな小説を書く人が日本人にもいたんだなぁ…。
こういう小説が読めるなら、ホンヤクモノにこだわる必要はもうないかもしれない。
他の作品も読んでみよう。あーうれしいー。