りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

遠い音

遠い音 (新潮クレスト・ブックス)

遠い音 (新潮クレスト・ブックス)

★★★★★

第一次世界大戦が迫りくるなか、グローニアは5歳で聴覚を失った。家族や世界とのつながりを回復させようとする祖母。現実を受けとめられず、神に祈り医者にすがる母。祖母が根気強く教える言葉の断片が、やがて世界へつながっていき、聾学校で学んだ手話が彼女の新しい人生を切りひらく。音楽好きの青年ジムとの出逢い。そして、結婚。しかし、つかのまの幸せを残し、夫は戦場へと旅立っていく―。

読むのにとても時間がかかった本。
音のない世界に生きるグローニアが繊細で強くて魅力的で。それと対比されて描かれる戦争の描写が克明で目をそらしたくなるほど残酷で。
読んでいてしんどくなって立ち止まったり、外で読んでいるのに涙が止まらなくなったりしながら、夢中になって読んだ。本当に読んで良かった…。素晴らしい小説だった。