りつこの読書と落語メモ

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帰郷者

帰郷者 (新潮クレスト・ブックス)

帰郷者 (新潮クレスト・ブックス)

★★★

母ひとり子ひとりの家庭で育ったペーターは、祖父母の家で占い本の断片を見つける。それは兵士が故郷へ帰還する物語だったが、肝心の結末部分が抜け落ちていた。失われたページを探すうち、思いがけず明らかになった、死んだはずの父の行方、ナチスにまつわる過去―。戦争に翻弄された人々の罪、そして償い。その波間に生まれた、いくつかの愛。世界的ベストセラー『朗読者』の著者が積年の思いを注ぎ込んだ、渾身の傑作長篇。

主人公のペーターは祖父母の家で目にした小説に心を奪われ、失われた結末にたどり着こうとして何年もかけて探索を続ける。その小説の謎を追ううちに、謎に包まれた作者の正体、そして自分の出生の秘密に行きついてしまうというドラマティックな展開。
どこをとっても私好みなのだが、うーん…小説の中に繰り広げられる帰郷者の物語に全然魅力が感じられず、そこに魅力を感じられないと、主人公ペーターがなぜここまでこの物語にこだわり続けるのか翻弄されてしまうのかがリアルでなくなってしまい、この物語自体の必然性も感じられなくなるという結果に…。

前半の祖父母やマックスとのエピソードはとっても良かったんだけど。
バーバラが出てきたあたりもとてもわくわくして物語に引きつけられたんだけどな。
どちらかというと情より知に傾いたこの小説に、最後の最後までのめりこむことができなかったのだと思う。
そして「朗読者」「逃げてゆく愛」と読んできたけれど、どうも私はシュリンクという人自身のことがあまり好きになれないような気がする。嫌いじゃないけどなんか鼻に付くところがあるのだよなぁ。好みの問題なんだけど。

以下ネタバレ。



とにかくなによりこのド・バウアーがいけすかない。
彼が行ったあのゼミの醜悪さと残酷さには身の毛がよだった。
黙って去らないでぼっこぼこにしてやればよかったのに。
ってわざわざ畳んでおいて、ほんとにまともじゃない感想で、すまんす。