さよなら渓谷
- 作者: 吉田修一
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2008/06
- メディア: 単行本
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読んでいる間は面白くて面白くて夢中になって読んで、読み終わってしばらく時間がたつとなんだかいや〜な気持になる…そんな小説だった。ある意味この前に読んだ「ノーバディーズ・フール」と真逆だ。
きっかけは隣家で起こった幼児殺人事件だった。その偶然が、どこにでもいそうな若夫婦が抱えるとてつもない秘密を暴き出す。取材に訪れた記者が探り当てた、15年前の“ある事件”。長い歳月を経て、“被害者”と“加害者”を結びつけた残酷すぎる真実とは―。
15年前の集団レイプの加害者と被害者。
被害者側の女性の方は何度も過去をリセットして人生をやり直そうとするのに、うまくいきかけた頃に必ずレイプされた過去が顔を出し幸せになれない。
一方加害者側の男性はなぜか世間に許される。男同士の間では笑い話として話させたがったりするところなんか、リアルすぎて気分が悪くなるくらいだ。
そんな2人がある日再会して…。
事件の描写がリアルなだけにこのラストがなんかいかにも男側の目線であるように思えて不愉快になった。
小説としては嫌いじゃないけど、底に流れているものは好きになれない。