りつこの読書と落語メモ

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フロスト日和

フロスト日和 (創元推理文庫)

フロスト日和 (創元推理文庫)

★★★★★

肌寒い秋の季節。デントンの町では、連続婦女暴行魔が跳梁し、公衆便所には浮浪者の死体が転がる。なに、これはまだ序の口で……。皆から無能とそしられながら、名物警部フロストの不眠不休の奮戦と、推理の乱れ撃ちは続く。中間管理職に春の日和は訪れるのだろうか? 笑いも緊張も堪能できる、まさに得難い個性の第二弾!

私の2009年はこの小説でスタート。かーっ。幸先いいぜっ。
ってそれを言いたいがためにこの本を1冊目に選んだんだけどさっ。

「クリスマスのフロスト」を読んで大好きになったフロスト警部。小説の主人公を身悶えるほど「好きだーー!」と思ったのはとても久しぶりのことだった。
このフロスト警部ときたら、見た目もよれよれのおっさんでセクハラ爆発のおやじギャグを連発するしだらしないしで全然かっこよくないのだ。
見た目がかっこ悪くても、事件を見事に解決して弱いものを助け強いものをこらしめるだったらかっこいいのに、上司に面と向かって歯向かったりもできないし(でも気がつかずに上司をないがしろにする能力はピカイチ!)、自分の直感で暴走しては失敗するし自らすすんで厄介事にクビを突っ込んでいくし、計画性はないしで、全然いかさないのだ。
だけど、だからこそ、時々見せる優しさとか正義感にぐっとくるのだ。たまらないのだ。

今回も、連続婦女暴行事件を軸に、少女の行方不明事件があったり浮浪者の殺人事件があったり強盗事件があったりひき逃げ事件があったり。警察内の政治的な思惑もあって、事件はどんどんこんがらがっていく。
今回フロストの相棒になるのが、妻と上司をぶん殴って降格になった元警部ウェブスター。まわりの警察官たちの当てこすりに爆発寸前のウェブスターは、フロストの場当たり的な捜査方法にいらいらしながら、フロストに振り回されて不眠不休の勤務を余儀なくされている。

鼻つまみ者のウェブスターに対するフロストが実にいいんだなぁ…。
説教をするわけでもなければ話を聞いてやるわけでもないし、自分が模範を示すわけでも全然ない。でもさりげなく庇ったり、時にまじギレしながら、決して見捨てない。
浪花節なところがあるんだけど、それだけに終わらない。だめなところや中途半端なところもあるし、正義感もある。

今回のラストがすごくいい。たまらないぜ、フロスト警部。ラブ。