りつこの読書と落語メモ

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古道具中野商店

古道具 中野商店 (新潮文庫)

古道具 中野商店 (新潮文庫)

★★★★★

「好きをつきつめると、からっぽの世界にいってしまうんだな。」 学生街の小さな店に集う人たちの、なんともじれったい恋。世代をこえた友情。どこかあやしい常連たち…。なつかしさと幸福感にみちた長篇小説。『新潮』掲載。

ああっ、これ好き!!

古道具屋の中野商店の店主中野さんはひょうひょうとしたおじさんで、女癖が悪くてつかみどころがないけど、自由でどこか憎めない。
そこでアルバイトをしているヒトミが語り手。多分そんなに年なわけじゃないけれど、どこか冷めていて動じない女性。
同じくアルバイトをしているのがタケオ。多分ヒトミより年下っぽいのだが、これがまた輪をかけてわかりづらいつかみどころのない男の子。
それに中野さんのおねえさんマサヨや中野さんの恋人、それから古道具屋を訪ねてくるお客さんたち。

これらの人たちの物語が短編連作のような形式で淡々と繰り広げられていくんだけど、最後まで読んでも「???」な話もあれば、ちょっとドキっとするような衝撃的な話もあれば、恋愛の話もあり…。
読みすすめるほどに、この古道具屋が大好きになってきて、別れがたい気持ちになってくるのだ。いつまでもこのお店にいたい。いつまでも彼らと一緒にいたい。そんな気持ちになる。

なによりもぐっときたのが、ヒトミとタケオの話。
これ、すごくわかるなぁ…。恋愛ってこういう状態に陥りやすいよね。
タケオを盗み見しながら「あたし、この人、あんまり好きじゃない」って心の中でつぶやくヒトミ。もうわかるわかる!!

そしてこのラスト…。もうね。すっかりヒトミになりきって読んでいたから、泣いたよ…ほんと。
すごく好きだ。これ。