りつこの読書と落語メモ

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薄闇シルエット

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★★★★

ハナは下北沢で古着屋を経営している37歳。仕事は順調。同年代の男よりも稼いでるし、自分の人生にそれなりに満足していた。ある日、恋人から「結婚してやる」と言われ、小さな違和感を感じる。「どうして、この人は『私が結婚を喜んでいる』と思って疑わないんだろう…」―違和感は日に日に大きくなり、ハナは恋愛と仕事について模索していくことになるのだが…。人生の勝ち負けなんて、誰が分かるというのだろうか。圧倒的リアルと共感が心にささる傑作長編。

これも「あるある」「わかるわかる」という小説だった。

何かつかめそうな感じ。何も持っていない感じ。なんか面白くない。なんか面白くなりそう。
自分は何をしたいのか。自分は何を求めているのか。それがわからないから、「これはいや」「これはしたくない」を基準に生きている。 だけどそれでいいんだろうか。自分だけ何もつかめていないんじゃないだろうか。

狭い世界で満足して娘にもその価値観を押し付けていると決め付けていた母親も、実はそうじゃなかったのかもしれない。
そう気付いた時にはもう遅かったりするのだ。
なんで決め付けてしまったんだろう。なんでなにも聞こうとしなかったんだろう。

恋人のことが急にどうでも良くなるとき。
友だちと泣きたくなるくらいわかりあえるとき。
友だちのことが急にわからなくなるとき。
仕事が急にいい方向に進み始めるとき。
こちらの方向に進めばいいのだと思って猛進していたのに、急に行き止まりになってしまったとき。

誰にでも経験があることなんじゃないだろうか。
こんな風にいろんなことが浮いたり沈んだり近づいたり離れたりしながら進んでいくのだ。
そしてどんなことも、結婚でさえも、結局は「ひとりでする」ことなのだ。最後はひとりなのだ。

わかったようなわからないような。「そうだ!」と言いたいような「いやちょっと違うと思う」と言いたいような。
もやもやっとするけど結構好き、これ。