りつこの読書と落語メモ

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対岸の彼女

対岸の彼女

対岸の彼女

★★★★

30代、既婚、子持ちの「勝ち犬」小夜子と、独身、子なしの「負け犬」葵。性格も生活環境も全く違う二人の女性の友情は成立するのか!?

友達を作るのが苦手な専業主婦の小夜子。
子どもを連れて公園に行くけれどなかなか友達ができない。自分はそれでもいいのだけれど、そのせいで自分の子どもが肩身の狭い思いをしているのが気になる。子どもが自分に似て友達の中に入っていけないのが気になる。
あーー。こんなことに悩むなんてバカバカしい。この閉塞感も苛立ちも、働くことで解消されるのではないかと考える。働きたい。働こう。働かなくちゃ。
面接を受けては落ちてを繰り返すうちに、もう働かないわけにはいけないような気持ちになってくる。
仕事の内容もろくに確認せずに、同じ大学を出たという葵が社長を務める会社で働き始める。

これが乃南アサだったら、この女社長に酷い目にあわされたり、家庭がめちゃくちゃになったりするよな…。
角田光代だとこれからどういう展開になるんだろう。
あんまり酷いことにならないといいんだけど。
そんな気持ちで読み始めた。

2つの物語が交互に語られていく。
一つは葵のもとで働き始めた小夜子の物語。
もう一つは高校時代の葵の物語。
葵の物語がどういう意味があるのだろうと思いながら読み進めていくうちに、なぜ今の葵になったのかがうっすらわかってくる。

なんか角田光代の描く世界って痛いなぁ…。
リアルだから「あるある」「わかるわかる」だから痛いんだろうな。
それでもまた読みたくなるのは、登場人物がもがきながらも前を向いているからなんだろう。