悪人
- 作者: 吉田修一
- 出版社/メーカー: 朝日新聞社
- 発売日: 2007/04/06
- メディア: 単行本
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なぜ、もっと早くに出会わなかったのだろう――携帯サイトで知り合った女性を殺害した一人の男。再び彼は別の女性と共に逃避行に及ぶ。二人は互いの姿に何を見たのか? 残された家族や友人たちの思い、そして、揺れ動く二人の純愛劇。一つの事件の背景にある、様々な関係者たちの感情を静謐な筆致で描いた渾身の傑作長編。
朝日新聞に連載されていた時に旦那が読んでいて「面白いよ」と言っていたので、読んでみた。
このタイトルだし、新聞に連載されていた時の挿絵が毒々しかったし、あまり気が進まなかったんだけど、読んでよかった。すごく面白かった。
宮部みゆきの小説を読んでいる時のように、「次はどうなる?」「どういうことがあったのか?」「どういう気持ちだったのか?」とページをめくる手を止められず、一日で読んでしまった。
たった一人の人がいれば。自分のことを愛してくれて信じてくれるたった1人の人がいれば、自分のことを肯定することができる。自分を愛することができる。自分を信じることができる。明日を楽しみにすることができる。
自分にはそんな人は絶対に現れないと絶望する時があるかもしれないけれど、決してそんなことはない。一生のうち、たった一人でいいのだ。絶望することはない。自分を悪人にしてしまうことはないのに。
苦い物語だったけれど、しっかりエンタメになっていて、満足。