鼻
- 作者: 曽根圭介
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2007/11
- メディア: 文庫
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外科医は、被差別者を救うために違法な手術をすることを決意する。暴力刑事は、少女の行方不明事件の捜査中に、かつて自分が通り魔として傷つけた男に出会う。2人の物語が交差する時、衝撃の結末が!
おおお。これは面白かった!
日本ホラー小説大賞短編賞を受賞した「鼻」の他2作品を収めた短編集。
ホラーというけれど、SFのようでもあり、その不条理さは「ない話じゃないなぁ…」と思わせるリアル感があって、なんとも怖くて、嫌〜な感じがするのだけれど、面白い。気持ち悪いけどちょっと気持ちいい。悪趣味だけど趣味がいい。
人間1人1人が株式市場に公開されたら…という発想で書かれた「暴落」。
まずはこれでハートを鷲づかみされる。
ありえないでしょう!と思いながら、いやでもまてよ、そうでもないかも…と思わせる気持ちの悪さがある。
筒井康隆っぽくもあり、「世にも奇妙な物語」っぽくもあり…。
それから飲み会のあとに意識を失い、気付いたらビルの間の路地に手錠でつながれ監禁されていた「受難」。
私はこれが一番怖かった…。飲み会のあと記憶を失うこと多いし、他人事とは思えん…。
それから受賞作品である「鼻」。
これも怖い〜。
善と悪がこんな風に入れ替わるなんて…ひぃ〜ひどい〜。でもやられた!!って思わずにやりとしてしまう気持ちのよさがあって、これはいい!
ホラーというジャンルに特別興味があるわけではないけれど、ほかの受賞作品も少しずつ読んでいってみたいなぁと思った。
やっぱりホラーは和物が怖いね…。