りつこの読書と落語メモ

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Y氏の終わり

Y氏の終わり (ハヤカワ・ノヴェルズ)

Y氏の終わり (ハヤカワ・ノヴェルズ)

★★★★★

これはまた面白い小説だった!「モンテ・クリスト伯」の後だけに何を読んでもつまらなく感じてしまうのではないかと思っていたんだけど、この選択はなかなか良かったぞ〜と自画自賛。

偶然手に入れた「呪われた本」には、人の心の世界に入る方法が書いてあった。本を狙う追っ手から逃れ、大学院生アリエルは時間も場所も超えた旅に出る-。ミステリ、SF、ファンタジイの魅力が詰まった冒険譚。

読んだら呪われる幻の小説「Y氏の終わり」。それを偶然手に入れたアリエルという大学院生の女性の奇妙な冒険を通して、物質、思考、宗教、科学、そして精神世界へと話はものすごく大きく展開していくのだ。読み始めたときはまさかこんなとてつもない話になっていくとは想像だにしなかった。いやこれはまた久々のなんじゃこりゃー!だ。
SFでもありミステリーでもあり哲学でもありラブストーリーでもあり、まさにあらゆるジャンルを包括したような小説なのだ。いやぁ最近こういう「こってり」が流行りなの??なんでも詰め込めばいいってもんじゃないけれど、でもこの小説に限っていえば、ちゃんとそれが成立していて上っ面に終わってなくてブラボー!だった。

主人公アリエルはものすごい才媛なのだが破滅型の女性だ。前半部分でアリエルの内面や性生活がセキララに綴られているからこそ、彼女がなぜ「Y氏の終わり」にここまでのめり込んでしまったのか、この冒険の必然性も浮かび上がってくるわけで、そういうところがこの作者はとてもうまいなぁと思う。壮大でいて緻密なのだ。小さなエピソードととてつもなく壮大なストーリーの混ぜ合わせ加減が絶妙なのだ。

いやぁこれはまた面白い作家を見つけちゃったなぁ〜。他の作品もどんどん翻訳されるといいなぁ。