りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

モンテ・クリスト伯[アレクサンドル・デュマ]

モンテ・クリスト伯〈1〉 (岩波文庫)

モンテ・クリスト伯〈1〉 (岩波文庫)

モンテ・クリスト伯〈2〉 (岩波文庫)

モンテ・クリスト伯〈2〉 (岩波文庫)

モンテ・クリスト伯〈3〉 (岩波文庫)

モンテ・クリスト伯〈3〉 (岩波文庫)

モンテ・クリスト伯〈4〉 (岩波文庫)

モンテ・クリスト伯〈4〉 (岩波文庫)

モンテ・クリスト伯〈5〉 (岩波文庫)

モンテ・クリスト伯〈5〉 (岩波文庫)

モンテ・クリスト伯〈6〉 (岩波文庫)

モンテ・クリスト伯〈6〉 (岩波文庫)

モンテ・クリスト伯〈7〉 (岩波文庫)

モンテ・クリスト伯〈7〉 (岩波文庫)

★★★★★!!

ブラボー!!まさに寝食忘れて夢中になって読んだという言葉がぴったりの濃ゆ〜い読書ができた4日間だった。こうして7冊並べる必要もないんだけどなんかうれしくてね。重いって…すすすまん。

モンテ・クリスト伯」は小学生の時に少年少女文学全集で読んだことがある。前にも書いたことがあるんだけど、あの全集は本当に選出が絶妙だったんだよなぁ…。私は当時「岩窟王」というタイトルで読んだのだけれど、最初はタイトルと大仰な挿絵に「うへぇ」な気持ちで読み始め、読み出すうちに面白くて面白くて夢中になり、読み終わった時は「ぐわっ。これはいったいなんだ??!!!」と叫びたいような衝動にかられた覚えがある。
そして今こうして読み直してみてやっぱり「うおおおおっ!!」と叫びたいほど面白かった。こんな作品が今から200年も前に書かれていたなんて。デュマってまじすげー。(←あほ丸出しだけどつい言ってしまう)

とにかく最高のエンターティメント作品だ。エンターティメントの要素が全てぎゅっと詰め込まれている。
主人公モンテ・クリスト伯はもちろんのこと、悪役たちの悪味も実にさまざまで魅力的だし、その家族や取り巻きたち、召使に至るまで、それぞれの姿が目に浮かんでくるほど、登場人物がみな生き生きしている。善と悪がはっきりしているのだけれど、しかしそれだけに収まらない。特に検事ヴィルフォール、許婚だったメルセデス、その息子アルベール、この人たちのエピソードは、もう本当にいろいろなことを考えさせられたし、心を揺さぶられた。

復讐劇としての爽快さがもちろんある。自分を貶めた相手を破滅に追い込むまでのやり方がものすごくよく考えられていてすかっとする。私は読んでいてほんとに何度も「うぉりゃっ!」とガッツポーズをしたよ。
物語のあちこちに伏線がはってあって、それがちゃんとおさまるところにおさまっていて実に気持ちいい。もちろん「おいおいそりゃちょっと都合が良過ぎるんじゃないかい?」っていうところもあるんだけど、でもそんなことはこの壮大な物語の中ではたいした問題ではない。

この小説には、時代とか宗教とか国とかそういうこと全てを超越した人間の真実が描かれているのだよなぁ。それがすごい。ほんとに心を揺さぶられるものすごい小説で、これに比べると最近読んだ何冊かはなんか薄かったなぁ…と思ってしまうほどであったなぁ…。
そしてちゃんときちんと完璧に物語が終わっている。これに感動。なにもかもうまくまとめてめでたしめでたしでもなく、あっちもこっちも放りっぱなしなのでもなく、きちんと落とし前をつけている。それが素晴らしい。そしてなによりこの最後の言葉。しびれる…。