りつこの読書と落語メモ

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パリ左岸のピアノ工房

パリ左岸のピアノ工房 (新潮クレスト・ブックス)

パリ左岸のピアノ工房 (新潮クレスト・ブックス)

★★★★★

こってり系の小説が続いたので、久しぶりにノンフィクションを。

記憶の庭から甦る、あの音。鍵盤の感触。どこでピアノのことを忘れてしまったのだろう?愛情溢れるパリの職人に導かれ、音楽の歓びを取り戻した著者が贈る、切なくも心温まる傑作ノンフィクション。

ノンフィクションといっても、まるで小説のような雰囲気のある作品だった。

パリに移住したアメリカ人の著者。子どもを幼稚園に送っていくときに通るピアノ工房がいつも気になっていた。そういえば昔からピアノが好きだった。そしていつか自分のピアノを持ちたいと思っていた。今がその時なのかもしれない!彼はその店への好奇心からその工房を訪ねる。古今東西のピアノが集まりそれを再生して(まさに命を吹き込むのだ)売っているそのピアノ工房には、ピアノの魅力にとりつかれた人たちが集まってくる。

ピアノを再生する職人の技、ピアノの歴史、調律、音楽家との交流、公開レッスンの様子、ピアノを手作りする工場など話は多岐にわたるが、とてもわかりやすくて魅力的なエピソードが満載で、とても楽しい。そして出てくる人たちの音楽的で魅力的なこと!
そして何より著者のピアノへの憧れ、愛情が溢れているので、読んでいてもきれいな音楽に触れたようにしみじみといい気持ちになってくる。ああ、私も年をとってもう少し時間とお金に余裕が持てるようになったら、またピアノを買って習いたいなぁという気持ちにさせてくれる。