りつこの読書と落語メモ

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[ウィジェット]と[ワジェット]とボフ

[ウィジェット]と[ワジェット]とボフ (奇想コレクション)

[ウィジェット]と[ワジェット]とボフ (奇想コレクション)

★★★★

自殺志願の男、スターの夢破れた女、偏見に囚われた弁護士……。心に問題を抱えた者たちに奇蹟の夜が訪れる……。孤高の作家が追い求める奇妙な愛のかたち。異様なまでに感動を呼ぶ不滅のスタージョン・クラシックス全6篇。

SFっぽくない作品が多かったように思う。最初の2作(「帰り道」「午砲」)は全くSFじゃないもの。そうか、こういう作品も書くのか、スタージョンは。なんか「ヴィーナス・プラスX」の印象が強烈なんだけど、確かに短編の中にはフツウの生活だけどちょっとねじくれている、みたいなものもあったもんなぁ。これがスタージョンの味なのかもしれない。

確かに「不思議のひと触れ」の時のような衝撃はなかったけれど、私はこの感じは嫌いではない。特に最近ちょっと奇想短編擦れしてしまっていた私には、こんな風にきちんと前向きに「人間」を描いている作風が逆に新鮮で好印象だった。

特に表題作が好き。いい!これ!ちょっと見、難解で、実際まじめに100%理解しようとすると???の嵐になるし、頭の弱い私なんかは「うわなんじゃこりゃ。よくわからないけど、多分こういうこと?」ともやっとした理解しかできていないんだけど、でも人間同志の愛や理解を圧倒的に信じているんだなってことはわかりやすく心を直撃してきて、そこがなんとも気持ちいい。ああ、スタージョンっていいなぁと思える。
こういう一見地味な作品がこうして収められて読まれていくというのは、なんかうれしいことだなぁと思う。