りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

心のおもむくままに

心のおもむくままに<新装版>

心のおもむくままに<新装版>

★★★★★

家を出た孫娘にあてた置き手紙に、老女は自らの過去を告白し、女から女へと受けつがれる生の悲哀と孤独を語りかける。人間への深い洞察にあふれた小説。生きることの真実とは何か、胸をあつくさせる作品。

ああ。なんか久しぶりに読んだなぁ、こんな小説。
amazonのレビューを見ると「人生のバイブル」「生きる勇気を与えてくれる」そんな言葉が並んでいて、なんだかぞっとしない。でも確かにいいのよ、この小説は。とてもシンプルで明快なだけに、イマドキの若い人たちの心にも響くものがあるのではないかしらん、と思う。

老女オルガが語った自らの過去、孫娘に言いたかったこと、その内容そのものよりも、死を前にして同じ過ちを繰り返したくない、どうしても愛する孫娘に真実を伝えたいという、その想いに胸を打たれた。