りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

紙葉の家

紙葉の家

紙葉の家

★★★★

うおおー。ようやく読み終えた…。まさにお化けのような本だった…。
すごいすごいとは聞いていて、いつか読むぞと思っていたんだけど、どこがどうすごいのかはネタバレが怖くて見ないようにしていたので全く知らずにいて、図書館でネット予約して手元に届いてびっくり。な、なんだ、この厚さは!!そしてぱらぱらめくってまたびっくり。なんじゃ、こりゃー?!

ザンパノという名の盲目の老人が、ある家の記録映画「ネイヴィッドソン記録」に基づいて「ネイヴィッドソン記録」という本(になる前のメモ?)を綴る。その記録を発見したジョン・トルーナントという男がこのメモを編集したのがこの「紙葉の家」なのである。

物語もこの本自体も仕掛けだらけだ。いやとにかくあらゆる手を使って物語の中に巻き込もうとするその情熱とこういう本を出版した出版社に拍手したい。で、拍手したあとで、「でもこれって反則じゃない?」と言いたい気持ちもちょっぴり。いやでも堪能しましたよ。たっぷりと。

「ネイヴィッドソン記録」がとにかく恐ろしくて面白い。そしてそれを追い続けたザンパノ、ザンパノの記録を追い続けたトルーナント、それらの人たちがどんどん狂気に巻きこまれていくのが、この本の異常なレイアウトや仕掛けでこれでもかこれでもかと迫ってくる。
トルーナントの語る物語は全て脚注という形で収められている。主軸の話があってそこに鬼のように脚注が割り込んできて、しかもそれはほんとに意味での(でも嘘の?)脚注と、トルーナントの語りとが入っていて、読んでいる自分自身もおかしくなってくるような感じになる。

本を読むスピードというのはある程度一定なんだと思うんだけど、この本は脚注が3ページぐらい続くページがあれば、1ページに文字が10文字ぐらいしかないページもあって、ページをめくるスピードが全然一定じゃない。そういう不規則さが読んでる側を妙に落ち着かない気持ちにさせるのだ。

通勤時間とランチタイムが私の貴重な読書タイムなんだけど、この本は厚くて重い上に、横にして読んだり逆さにして読んだりしなきゃいけないので、できれば長いお休みの時に家で読むのがよろし、と思う。