悪魔に食われろ青尾蝿
- 作者: ジョン・フランクリンバーディン
- 出版社/メーカー: 翔泳社
- 発売日: 1999/10
- メディア: 単行本
- クリック: 5回
- この商品を含むブログ (13件) を見る
今日がその日だ―退院日の朝、精神病院のベッドで目覚めたエレンは純粋な喜びを感じていた。これで愛する夫のもとに帰れるのだ。退院後、優れたハープシコード奏者であったエレンは、演奏活動を再開する。しかし、音楽も、夫との生活も、以前とはすべてが微妙に違っていた。不安に怯えるエレンの前に、ひとりの男が現れたときから、封印されていた忌まわしい過去が形をなしはじめ、彼女をめぐる暗い影は、恐怖に満ちたクライマックスへと次第に戦慄の度合いを増してゆく…。人間心理の暗部に深く探索の針をおろし、そのあまりに突き抜けた先見性ゆえに、70年代に劇的な復権を果たすまで不当に埋もれていた本書は、読み巧者ジュリアン・シモンズが手放しで絶賛し、各種ベスト表にも選出された“幻の傑作”である。
怖い怖いとは聞いていたけど、いやこれはほんとに怖かった…。
足元がぐらつく怖さ。現在なのか過去なのか、現実なのか幻なのか、それがわからない。過去に何があったのか、この先何が待ち受けているのか、自分はいったいどうなってしまうのか、今の自分は狂っているのか…。そう。読んでいる自分の足元もぐらぐらして、あたかも自分もおかしくなってきているような感じさえしてしまうのだ。
たいした内容じゃないけどネタバレになるのでとりあえず…。
鍵が見つからないところとか、ジミーがナンシーの家に現れるところとか、おとうさん(存在自体が怖いっ)が出てくるシーンとか、どれも怖いんだけど、私が一番ぞぞぞっとしたのはバジルが女を抱きしめているところを見てしまうシーン。ネルが現れて怖くて怖くてどうしようもなくて家に帰って来てそしてこれを見てしまう…。まるで自分がその場にいたように、ネルと一緒にそれを見てしまったように、ぞぞぞっとした…。そしてこのラストシーン…。ぎゃーー…。