りつこの読書と落語メモ

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青年のための読書クラブ

青年のための読書クラブ

青年のための読書クラブ

★★★★

東京・山の手の伝統あるお嬢様学校、聖マリアナ学園。校内の異端者だけが集う「読書クラブ」には、長きにわたって語り継がれる秘密の〈クラブ誌〉があった。そこには学園史上抹消された数々の珍事件が、名もない女生徒たちによって脈々と記録され続けていた――。今もっとも注目の奇才が放つ、史上最強にアヴァンギャルドな“桜の園”の100年間。

読み出して少女の一人称による語りが全て「ぼく」であることに、最初ちょっとげげっ…。女の「ぼく語り」には抵抗があるんだよなぁ…。
私自身が女子校育ちじゃないから、というのもあるのかなぁ。女ばかりが集まるとその中で男役と女役に分かれていくというのはなんとなくわかるような気もするのだが、そういう限定された世界での擬似恋愛みたいなものには全く共感できない…。いやべつにそういう恋愛が出てくるわけではないのだが。なんかこういう限定された世界で繰り広げられる物語である必要性があるのだろうか。
などとぶつぶつ言いながらも、読み進めるうちに、この「ぼく語り」も物語の中で意味があることも途中でわかり、それなりに受け入れながら、最後は結構楽しく読めた。

由緒正しい名門女子校で、異端者が集まる「読書クラブ」という設定が、いかにも読書家の桜庭さんらしい。こんなクラブがあったら入りたかったなぁ。
私が一番面白い!と思ったのは第二章の「聖女マリアナ消失事件」。これはちょっとサラ・ウォーターズのようではないかい?翻訳物の面白いミステリーのような味わいがあって好きだったなー。

第五章の「ハビトゥス&プラティーク」もよかった。ここまで読んでようやく全てが腑に落ちた。そしてそれまでの全てが許せる気分になった。(←なんかえらそうだな、おい)。
これに中野ブロードウェイが出てくるんだけど、ここは私にとったらものすごーく近しい場所なのだよ。学生時代はしょっちゅう立ち寄っていたし、このあたりの怪しさやら変なにおいやら場末感オタク感はものすごいリアル。だからこういうコーヒー店があっても全然不思議じゃないんだよなぁ、ほんと。
で、ここまで読んで、そういうことか、と。女子校や男子校の経験者であれば、この小説に漂う空気とかエピソードに、ものすごく「わかるっ!」と思うのかもしれないな、と。

せっかくこんなにそれぞれの物語が面白いのだから、「少女」に限定して描くことはないのではないかしらん、とちらっと思ったりもしたけれど、いやでもまあ面白かったからいいや。他の作品も読んでみようと思う。