最後の言葉
- 作者: グレアムグリーン
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1992/09
- メディア: 単行本
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趣向をこらしたミステリから純文学まで―。19歳で書いた短篇から最晩年85歳の作品までヴァラエティーにとんだ珠玉の12篇を収録。
これ、間違って借りちゃったのだ。ほんとは、これが読みたかったの。
- 作者: ヘンリースレッサー
- 出版社/メーカー: 論創社
- 発売日: 2007/05
- メディア: 単行本
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でもぱらぱらめくったら結構面白そうだったので、読んでみることに。グレアムグリーンって名前だけは聞いたことがあったんだけど、これは彼の遺作である。解説を読むと、グリーン自身がかつては英国情報機関の一員で、スパイ小説の名手、とある。だからここに収められた短編はルポルタージュのような?政治を連想させるような作品が多いのか。
表題作「最後の言葉」はなかなか面白い。記憶をなくし軟禁されている老人がいる。ある日彼は「将軍」から招待され、飛行機に乗って国外に出る。「将軍」の屋敷ではこの上ないほどの歓待を受けるのだが、彼は自分がそういう「贅沢」に慣れていることに気付く。彼は何者なのか。そして将軍の意図は?
短編集全体の表題に「最後の言葉」という作品を選びそれが結果的には遺作になった、というところがなんだか運命的なものを感じさせるし、この老人とグリーン自身が重なるような気がする。
ホーホー卿を取り上げた「英語のニュース」、死期の迫った給仕の希望と絶望を描いた「とどめのひと突き」、1人の老人がドイツ兵から村を救った(しかしヒーローになりそびれた)「中尉が最後に死んだ」等が面白かった。あ、面白いと思った作品はどれも死を扱ったものだな…。
面白い作品もあったけれど全体としては、ちょっと古めかしさを感じさせる作品、小粒な感じのする作品が多かったかな。きっとこんなもんじゃないんだろう。グレアム・グリーンという作家は。