りつこの読書と落語メモ

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クレイ

クレイ

クレイ

うわ、ごめん。全然だめだった…。

町に越してきた少年は、粘土細工が上手く気味の悪い奴だった。クレイと名付けた人形に生命を与える儀式を手伝ってしまったぼく。それが本当に動くなんて思いもよらず……。英児童文学最高の書き手のひとり、D・アーモンド最新作。

どこかでこの本の紹介を読んだ時から、そしてこの表紙を見たときから、多分こういうテイストなんだろうな、こういう物語なんだろうなと思っていた通りの小説だった。そして読む前から、あまり読みたくないなぁと思っていたのだ。だけどなぜか読まずにいられないような気持ちになってしまっていたのだ。多分好きじゃないけど読まないわけにいかない。うーん、なんでそう感じてしまったんだろう、不思議だ。たまにそういうことがあるのだ。

誰でも一度は誰かのことをこの世からいなくなってえばいいのにと思うぐらい憎むことがあるだろう。ものすごく理不尽な目にあったり、恐怖を感じさせられたり、しかもそこから逃れられないと思ったら、こいつさえいなくなれば…誰かがこいつを殺してくれたら、そんな風に思うことがある。だけど一瞬でもそう願った自分が恐ろしくなり、いややっぱり嘘です、そんなことは願いません、嘘です嘘です、慌ててそう誓いなおしたりする。

この物語は、町に引っ越してきたスティーヴンという不気味な少年の言葉に乗せられて、粘土男に生命を与える儀式に手を貸してしまった少年の物語だ。良くないことだ、恐ろしいことだと感じながらも、ひきつけられていき、もうそこから逃れられなくなるところなど、読んでいてものすごく恐ろしい。クレイそのものは、命を与えられた瞬間はものすごくおぞましくて恐ろしいのだが、不思議とそれほど邪悪な感じがしない。それよりも恐ろしいのは、スティーヴンの方だ。ねじくれてしまった人間の心ほど恐ろしいものはない。彼はどこへ行ったのだろう。どうなっていくのだろう。

最後の場面は確かに美しくもあるけれど、でも私はちょっと…だめだったなぁ。あとこの躍動感のありすぎる翻訳もあまり好みではなかったなぁ。「あいよ」って…。うーん…。