りつこの読書と落語メモ

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シャドウ

シャドウ (ミステリ・フロンティア)

シャドウ (ミステリ・フロンティア)

★★★

この本を読んだ感想をいくつかちら見して、これは読んでみようと思っていた。この作家の作品を読むのはこれが初めて。

人間は、死んだらどうなるの?―いなくなるのよ―いなくなって、どうなるの?―いなくなって、それだけなの―。その会話から三年後、鳳介の母はこの世を去った。父の洋一郎と二人だけの暮らしが始まって数日後、幼馴染みの亜紀の母親が自殺を遂げる。夫の職場である医科大学の研究棟の屋上から飛び降りたのだ。そして亜紀が交通事故に遭い、洋一郎までもが…。父とのささやかな幸せを願う小学五年生の少年が、苦悩の果てに辿り着いた驚愕の真実とは?話題作『向日葵の咲かない夏』の俊英が新たに放つ巧緻な傑作。

ミステリーとしてはとても楽しめた。先が読みたくて読みたくて、歩きながら読んだくらい。そして読みやすいから1時間ちょっとで読んでしまった。
癌で母親が亡くなり、主人公の鳳介と父親洋一郎の二人暮らしが始まるところから物語は始まる。残された二人はぎこちなくもお互いを思いやりながら暮らしていこうとしているように見えるのだが、父の友人で精神科医である水城の妻、恵が自殺したり、水城が精神の均衡を崩したり、父である洋一郎の様子もおかしくなってくる。そして鳳介自身も母の葬式の時から意味深な幻覚を見るようになり…。

誰がほんとに狂っているのか?何か過去に恐ろしい出来事があったのか?何が謎なのかもよくわからないままに読みすすめるうち、「うおおっ」と驚く真実が明らかになってくる。伏線の張り方や誘導の仕方や読者のだまし方がうまくて、とても気持ちよく読める。ミステリーとしてみたらとても面白い。

でもなぁ…。人間の描き方にあまりにも深みがないというか、人間がミステリーのための道具でしかないような感じがして、そこがいまいち物足りない。あと物語がきれいに収まるのはいいけれど、ちょっとご都合主義に思える所もあって、それが残念だった。
まあこういう小説は、どうやどうやー?と読みすすめて、うぉおおおとだまされて、あー面白かったーで十分なのかもしれないけど。