りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

ゴーレム100

ゴーレム 100 (未来の文学)

ゴーレム 100 (未来の文学)

★★★

うわはははは。久しぶりのなんじゃこりゃー。「最強にして最狂の伝説的長編」と帯にあるけれど、いや確かにこれはほんとにもう…なんと言っていいのか。ジャンキーで狂っててエロでグロでとにかくやりたい放題のすごい小説だー。

「ええ、サタンが次のダンチュにあなたをお誘いちてるところが目に浮かびまちゅ」
「堕淫(ダイン)スかもね、プリス」
「だめでちゅ、ネル!」

この文体に拒絶反応が出てしまうと読み続けるのはきついかもしれない。こりゃすごい翻訳だなぁ(やりすぎなのでは?)と思ったのだが、どうやら原文の文体に限りなく忠実に訳してこのようになったらしい…。「1980年に刊行され、これが日本語になるとは誰も思っていなかった」のだとか。そ、そうか。それは失礼いたした。なにせ訳者はかのキャッシー・アッカーの小説を翻訳している人なので、わざとジャンキーに訳したのか?なんてことをちらっと思ってしまったのだ。

22世紀のある巨大都市で、突如理解不能で残虐な連続殺人事件が発生した。犯人は、8人の上品な蜜蜂レディたちが退屈まぎれに執り行った儀式で召喚した謎の悪魔ゴーレム100。事件の鍵を握るのは才気溢れる有能な科学者ブレイズ・シマ、事件を追うのは美貌の黒人で精神工学者グレッチェン・ナン、そして敏腕警察官インドゥニ。ゴーレム100をめぐり、3人は集合的無意識の核とそのまた向こうを抜け、めくるめく激越なる現実世界とサブリミナルな世界に突入、自分の魂と人類の生存をかけて闘いを挑む。

とにかくぱらぱらとめくればこの本がものすごく奇怪な小説であることはわかると思う。文体だけではなく、楽譜(ゴーレムを呼び出す歌?)やら異様な絵(PMという強力なドラッグでラリってファズマ界に入りこんだ時の幻覚)やらが挟み込まれ、これでもかこれでもかと読者を異様な世界に招きいれる。できればそんな物は使わずに文章だけで「なんじゃこりゃー」と叫ばせてくれよと思ってしまう石頭な私だけど、まあこれはこれでありかな、と。いやぁいいのよね、この挿入された絵が、なんともいえず。

そしてとにかく物語が奇怪なのだ。でも面白くてぐいぐい読めてしまう。ぐいぐい読めてしまうのだけど、物語はどんどんどんどん加速していって、最後のほうはもうわけわからん状態に…。え、ええええ?なんじゃこりゃー?エンディングは「おお(嬉)」なんだけど、エピローグは「おお?」って笑っていいのか怒っていいのかわからないって感じ。
まぁとにかくすごい小説でした。奇書。