りつこの読書と落語メモ

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砂の女

砂の女 (新潮文庫)

砂の女 (新潮文庫)

★★★★★

入っているコミュの課題本ということで読んでみた。高校生の頃に読んだことがあってとても印象に残っていたのだが、今回ウン十年ぶりに再読してかなり記憶が間違っていることがわかった…。「箱男」と話がごっちゃになってしまっていたのか?読む前に「こういう話なのだろう」と想像した方を覚えていたのか?

砂丘の穴の底にある一軒屋に閉じ込められた男と、その一軒屋に住む女とを描いた安部公房の長編小説である。 1962年6月に新潮社から上梓され、英語・チェコ語フィンランド語・デンマーク語・ロシア語等の二十数ヶ国語で翻訳された。1963年、第14回読売文学賞を受賞。1968年、フランスで最優秀外国文学賞を受賞。

いやしかしこれはほんとにすごい小説だ。話の展開、心理描写の巧みさ、異常な話なのだが「こういう風にして行方不明になった人も実際にいたのかもしれない…」と信じさせる圧倒的な筆力。まるで古くなっていない。今この作品が初めて発表されたとしても、十分センセーショナルだ。世界各国で翻訳され絶賛されたというのも頷ける。

この女の気持ち悪さ。村人たちの残酷さ、陰湿さ。そしてこの主人公の男の苛立ち、希望、恐怖、そして適応。何もかもがとてもリアルで読んでいて掌にじっとり汗を書くようないやな感じ。読んで時間がたってもこのじっとりした嫌な感じは薄れることがないのだ。