りつこの読書と落語メモ

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闇の守り人

闇の守り人 (新潮文庫)

闇の守り人 (新潮文庫)

★★★★★

私にしたら珍しく矢継ぎ早に読んでいる「守り人」シリーズ。記憶がなくならないうちに読まなくちゃというのがかなりの高いモチベーションを呼んでいるのかも…。
このシリーズは安心して読める小説なのだよなぁ。「安心して読める」というのは何となくちょっと馬鹿にしているような表現だけれど、安心して読めて何が悪い?そう言い張りたい気持ちになるくらい、このシリーズは好きだ。

女用心棒バルサが生まれ故郷のカンバル王国にもどった。その昔、地位も名誉も捨て自分を助けてくれた養父ジグロの汚名をそそぐために。日本児童文学者協会賞。路傍の石文学賞受賞。

1作目の「精霊の守り人」でバルサが語る自分の過去。自分のために全てを捨てて汚名を着せられた養父ジグロとただただ逃げて隠れて戦うだけだった自分。今回の物語はバルサが自分のあまりにも悲しい過去に決着をつけるため、故郷であるカンバル国に帰る物語だ。
バルサが自分の過去と対峙するストーリーが主軸となっているため、前作よりトーンは暗く胸がしめつけられるようなシーンや言葉も多い。前作では登場人物の善悪が非常にはっきりしているが、この「闇の守り人」では「善」である人物たちの弱さや醜さや愛憎も描かれていて、より深みのある物語になっているように思う。

バルサがジグロと過ごした日々が深い愛情に満ちた日々であったと同時に深い闇に包まれた日々でもあったことが明らかになっていくストーリーと、「闇の守り人」に近づいていくストーリーが、とてもいい具合に融和していて、うまいなぁ…とうっとり。物語全体が謎解きにもなっていて、それが無理矢理とってつけたようじゃないところが好きだ。予定調和とか安っぽいのは嫌いなんだけど、こういう風にきちんとおさまるのは好きだ。善悪ははっきりしているけれど物語に厚みがあるところが好きだ。ああ…好きだなー、このシリーズ。