りつこの読書と落語メモ

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ケルベロス第五の首

ケルベロス第五の首 (未来の文学)

ケルベロス第五の首 (未来の文学)

★★★


お気に入りのブログ等で見て面白そうと思った本は手帳にどんどんメモしている。先入観を抱かずに読みたいので、題名や感想の最初の方を見て良さそうと思ったら、詳しい内容は見ないようにしている。で、どんどんメモだけが増えていくので、どういう類の本なのか誰が面白いと言っていたかということはほとんど失念してしまっている。なにせほら記憶力が希薄だから…。ふっ…。
で、この本もいつからか自分のメモにあって、いったいどういう内容なのか誰のオススメだったのかも忘れてしまっている。ただこのタイトルと国書刊行会SF「未来の文学」から出ているということで、難解なのでは?という不安も抱きつつ、期待を持って読み始めた。

本書は3つの章に分かれている。「ケルベロス第五の首」「『ある物語』(ジョン・V・マーシュ作)」「V・R・T」。1つめの「ケルベロス第五の首」はとても面白くて、これは期待にたがわぬ本だったぞーー!と喜んだのだが、2つめ以降がもう…。特に3つめの「V・R・T」は完全にお手上げ状態。
読み終わってあまりに釈然としないので何らかの解釈、解説がほしくて、ネットで検索してみたら、きちんと丁寧に考察してあるサイトが幾つか見つかったんだけど、それを読んでも、????。これはもう完敗です…。だから★3つだけどこれは「面白くなかった」のではなく、「理解できなかった」の3つなのです。

1つめの「ケルベロス第五の首」はとても面白かったのだ。好みだった。ストーリー自体もそうなのだが、徐々に情報が与えられていき世界が明らかになっていくのが実に面白い。なんていうかな、さりげなく当たり前のようにトンデモナイことが明らかになっていく。そのさりげなさにとても驚いてしまう。
解説にもあったけれど、いやほんとにこういう本はとにかく何の予備知識もない状態で読むのがよい。裏表紙にあるあらすじも絶対読まないほうがよいと思う。

以下ネタバレです。(でも全然理解しきれなかったのでたいしたネタバレはない…)












地球より彼方に浮かぶ双子惑星サント・クロアとサント・アンヌ。かつて住んでいた原住種族は植民した人類によって絶滅したと言い伝えられている。しかし異端の説では、何にでも姿を変える能力をもつ彼らは、逆に人類を皆殺しにして人間の形をして人間として生き続けているという…。「名士の館に生まれた少年の回想」「人類学者が採集した惑星の民話」「尋問を受け続ける囚人の記録」という三つの中篇が複雑に交錯し、やがて形作られる一つの大きな物語と立ちのぼる魔法的瞬間―“もっとも重要なSF作家”ジーン・ウルフの最高傑作。

第一章「ケルベロス第五の首」。
読み始めてすぐに兄弟が父親に監禁に近い状態でとじこめられているのがわかる。何かの目的で家庭教師ミスター・ミリオンによって高レベルの教育を受けているらしい。
なんかありがちな始まりにも思えるけど、1ページ目から「子どもは(中略)きわめて安い存在だった。実際、父もかつては売買に手を染めていた」とあり驚く。そして最も不思議なのは主人公の名前が明かされないのだ。途中で父から「おまえは第五号だ」と命名されるのだが、これはもちろん彼のほんとに名前ではない。
読み進めるうちにここは地球ではなくサント・クロアという惑星であることがわかる。サント・クロアの姉妹惑星がサント・アンヌ。かつて住んでいた原住民(アポ)は植民した人類によって絶滅させられたらしい。が、異端の説ではなんにでも姿を変えられるアポは逆に人類を皆殺しにして人間として生きていると。どちらが正解なのかがわからないのだ。つまり今生きている者たちは人類なのかあるいはアポなのか。そもそも人類とはアポとは何なのか。
それでもこの1つ目の物語はある意味ゴシック小説のようで、主人公である少年「第五号」の一人称で語られるので、比較的わかりやすい。

第2章「ある物語」。これは第一章にも出てくるマーシュという地球から来た科学者が書いた民話らしい。これは双子惑星のサント・アンヌの物語でどうやらここで語られているのがアポのようなのだが。そもそもこの物語を書いたのがほんとに第一章にも出てくる人類学者のマーシュなのか、マーシュ自身もほんとに自らが名乗ったように人類であるのか(第1章で主人公から「あなたはアポでしょう」と指摘される場面もある)、それもわからない。
唐突に民話が始まり唐突に終わるのだ。

そして第3章「V・R・T」。こちらは囚人の物語。尋問を受けている囚人がいて、彼が書いたと思われるノートと録音されたテープが断片的に(しかも時系列がばらばらに)展開されていく。どうやらこの囚人が人類学者マーシュらしい。彼はアポが生存しているという仮説をたて、アポとのハーフと名乗る少年と2人でアポの聖地へと乗り込んでいくようなのだが、途中で少年が死にマーシュも逮捕され?しかしどうもこのあたりも怪しくて、もしかすると殺されたのはマーシュのほうでその後マーシュを名乗っているのは少年の方なのではないかという気もする。というのはアポはなんにでも姿を変えられるとあるし、少年が死んでからの記録が明らかに以前とはトーンが違っているのだ。

この第3章で全ての謎が明らかになったら「あーーーそうかー納得!すっきり!」なんだけれど、この第3章が曖昧で謎に満ちていて、私は正直言って「もうだめだ…」と投げてしまいましたわ…。ううううー。誰か私のようなおバカちゃんにもわかるようにおせーて…。
って情けない書き終わりだこと…。