[エリノア・リプマン]恋をしては失って
恋をしては失って―ちょっと辛口の16篇 (Hayakawa Novels―彼女のためのノヴェルズ)
- 作者: エリノアリプマン
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1988/02
- メディア: 単行本
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10年〜20年ぐらい前、アメリカの女性作家を夢中になって読んでいた時期があった。
アン・ビーティ、スーザン・マイノット、ルイーズ・アードリック、ボビー・アン・メイソン、ジル・マコークル、スー・ミラー、スーザン・マイノット、アン・タイラー、マーガレット・アトウッド、メアリー・モリス、エリザベス・バーグ、デブラ・スパーク…。
アン・タイラー、マーガレット・アトウッド、エリザベス・バーグなんかは今でも大好きだけど、他の人たちは今も新しく作品を出したりしているんだろうか?
「恋をしては失って」は早川書房の<彼女のためのノヴェルズ>から出ていて、このシリーズだったんだけど、今はもう出てないんだろうな。この本もどうやら絶版になっているみたいだし…。
なんてことを思い出しつつ、当時から「読んでみたいな」と思っていた本書を読んでみた。20年越しってことか…。やれやれ。
現代のアメリカをあざやかに映し出す、16の恋愛短篇。ほんのり甘いのも、やるせなく苦いのも、ユーモラスなのも、深刻なのも。ボストンとその周辺に展開する大人の恋の駆け引きは、ウィット豊かで、意外に純情で、そして優雅な色気が漂う。
原題がInto Love And Out Again。恋をめぐる短編集なんだけど、いやこれが案外面白かった。
世間的に見たら「自立している女」だけど、恋には不器用で甘え下手で損ばかり。もしかするとここに出てくるのは今となっては「ちょっと古い」タイプの女性たちなのかもしれない。でも多分今読んでも共感できる人は多いんじゃないだろうか。少なくとも私は「うえっ」と声が出てしまうぐらい共感できたなぁ…。
絶対何事も起こるはずがなかった「安全牌」くんとふとした瞬間に恋が芽生える「フランキー」。
元デブで今二枚目の男と以前はフツウだったのに徐々に太ってきてしまった女が脂肪で惹かれあう「デブとやせ」。
そして臨月のシングルマザーハンナに恋をするティムがなんとも愛おしい「ハンナとティム」シリーズ。いやこれはいいわ。ロマンティックだわ。現代のおとぎ話だなー。
どれもくすっと笑えてちょっと泣けて元気が出る、なかなか素敵な短編集だった。