りつこの読書と落語メモ

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囚人のジレンマ

囚人のジレンマ

囚人のジレンマ

★★★★

戦争は、終わらない。父エディの謎を追って、ホブソン一家は最大のパラドクスに直面する ― 前作『舞踏会へ向かう三人の農夫』と同様に三つの物語が錯綜しながら展開する。果たして最後に、物語のパズルのピースは納まるのか!?
2006年に最新作 The Echo Maker で全米図書賞を受賞し、いまや現代アメリカ文学を代表する作家リチャード・パワーズの感動の第二長編。待望の翻訳!

前からパワーズは気になっていた作家であった。柴田元幸さんが翻訳しているし、表紙もとってもステキだし、いつか読んでみたいと思っていた。しかし「難解」「読みづらい」という感想を目にすることも多かったので、これはもしかすると私には理解できない小説かもしれない、という危惧もあったのだ。
でもこの小説は、パワーズの中では読みやすくて、全体的にアーヴィングのような感じもあるという噂を聞いて、読んでみることにしたのである。

これは家族の物語が軸になっている。父エディ・シニアは何やら重い病をわずらっているようなのだが、病気について話題にするのは家族の中でタブーになっている。歴史の教師でもある父は絶えず子どもたちになぞなぞを仕掛け、子どもたちはみな独自の緊張感を持ってその謎を解く、というのがこの家族のスタイルになっている。

物語は、1)ホブソン家それぞれのきょうだいが語る父についての回想、2)三人称で語られるホブソン家の物語、3)第二次世界大戦中のアメリカ史(しかしかなりねじれた内容)の3つのパートからなる。この3つのパートが年代もばらばら、互いに話も食い違い、トーンも異なる。
しかし物語が進むにつれて、だんだんその3つが歩み寄ってきて少しずつ謎が明らかになっていく。と書くと、なんかとても私好みそうな小説に思えるけれど、あああ…。正直言って、読むのに苦労したよ…これ。パワーズの作品の中では読みやすい部類だとあったけれど、読みにくかったよ…。情より知に傾いている作家の小説は性に合わないのかもしれないなぁ…。(←身も蓋もない感想か…)

とは言っても、この小説の家族の物語の部分はとても好きだった。
家族の中に流れるこの一触即発の緊張感というのは理解できるのだ。確かに家族にはそういう側面がある。
この父親の場合、癲癇のような発作を定期的に起こしそれにしたがって徐々に死んでいってるような感じすらある。ここまで深刻な状態なのになぜ?と思うけれど、深刻だからこそ直視したくない、本人がそれを希望し、それだけが生きる拠り所のようになっているとなれば、ますますそうなるのだ。そうなのだ。彼らは実は深い愛で結ばれた家族なのだ。そのことに読んでいて気づく時、思わず涙がこぼれていた。

ただこの小説はそれだけではないのだ。もっと大きなモチーフが世界史的な規模で展開されていて、私にはその部分はついていけなかった…。なんていうかね、もうちょっと情の部分で攻めてくれれば、いくらでも受け止められたんだけどねー。って、私の力不足です、はい…。