りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

たらいまわしTB企画 第36回「少女の物語」

たら本です。今回も参加しちゃいます。
今回の企画はBOOKS AND DAYSのnineさんによる「少女の物語」。

少女って特別な存在感を持っていると思います。透明感、美しさ、可憐さから、コンプレックス、頑なさ、意地、思いこみなどなど、プラスもマイナスも少女というカタチに内包されると独特の輝きを増す。と思います。
謎めいた美少女も素敵ですが、コンプレックスまみれの普通の(いやそれより劣っていようが!)少女も素敵なんです。

・・・とか何とか書きましたが、はっきり言いましょう。
わたしの趣味だっ!!
もう多分主催をすることはないと思うので、思いっきり自分の読みたいジャンル(?)に走りました。
少女が主人公の物語、印象的な少女が登場する物語を皆様どしどしトラックバックお願いしまっす!!

今回のテーマを見た瞬間から「少女か、少女ね。少女少女少女…」とつぶやきつつ、好きな本の中でこれぞ少女!!っていう小説はなんだろう?…ええとええと…と考え続けていたんだけど、いやこれがなかなか思い浮かばないもので。でも元少女(ええ!そうですとも!)としたら、少女の小説が嫌いなはずもなく。ええ。

まずはベタなところでこれ。

あしながおじさん (新潮文庫)

あしながおじさん (新潮文庫)

ベタすぎ?いやでもこれは私がその昔本物の「少女」だった頃(何百年も前にねっ!)、それはそれはもう夢中になった物語で。ジュディ・アボットは、私がはじめて友達になりたい!と本気で思った登場人物だったのだよ。ああ。ジュディと同じ寄宿舎に入っていたら、絶対友達になれたのに!絶対わかりあえたのに!この物語を読みながら幾度となくそう思った。今もそう思ってるよ。これ挿絵も素敵なんだよね。

それから、これ。

ブルーミング (新潮クレスト・ブックス)

ブルーミング (新潮クレスト・ブックス)

50年代アイオワ。居眠りしているようなスモールタウン。親密な空気にすっぽり包まれたこの町が、少女のわたしをゆっくり大人へと育んでくれた。パジャマ・パーティでの内緒話、ダンス会のあとの虚脱感、親友選びの残酷さ、もどかしい恋のプロセス…。やがて卒業のときが訪れると、仲間たちは一人また一人と町を去り、いつしかちりぢりになっていった。―思春期の感情と風俗を丹念に掘り起こし、読者の追憶を誘わずにはおかないヴィヴィッドな回想録。

おお。新潮クレストだったんだ!!気づいてなかったよ。少年時代を描いた物語は積極的に読むくせに、少女時代を描いた物語はそうでもないのはなぜだろう?それは私が女だからだろうか。
これは甘すぎず辛すぎず、醜悪でもなければ意地悪でもない、等身大の少女を描いた秀作だと思う。少女時代を「何も起こらなかった」と言い切る作者が私は大好きだ。

そしてこれ。

石のハート 新潮クレストブックス

石のハート 新潮クレストブックス

家族すべてを失った12歳の少女、エレン。30年近い時を経て、彼女は惨劇のあった家へ舞い戻る。家族とは? 女であることとは? オランダ女性作家渾身の長編小説。

おお。これもクレスト。こちらは打って変わってとてつもなく過酷な少女時代が描かれている。崩壊していく家族の中で「絆」であろうとする少女のひたむきさがとても悲しい…。過酷な過去を背負いながら、全てをゆるして前に進もうとしていく彼女がとても素敵だ。

最近読んだ中ではこれ。

わたしのなかのあなた (Hayakawa Novels)

わたしのなかのあなた (Hayakawa Novels)

これも少女独自の孤独や正義感が描かれていて良かったなぁ。私は途中から母のほうに感情移入して読んでしまったんだけど。

自分が好きな「少女」の物語をこうして並べてみて気づいたのは、私は「強くあろう」とする少女を描いた物語が好きなのだな、ということだ。過酷な人生を正面から受け止め、ひたむきに前を向き、一人でたたかっていこうとする少女が好きだ。そしていつしか「大人」と呼ばれるようになっても、自分の根っこはそこにあるのだ、と今も自分は思っているのだなと思った。
素敵な企画をありがとう、nineさん。